ブルセラ症といえば犬での集団感染で話題になった感染症です。
なぜそんなに話題になったかというと人にも感染することが分かったから。
ブルセラは感染する動物によって種が決まっていて、犬がかかるのはブルセラカニスと言われます。
今回は人にもうつる、ブルセラカニスがテーマです。
人にもうつる ブルセラ症ってどんな病気
ブルセラ症は畜産で問題になる細菌として有名です。
ブルセラ・アボルタス(主に牛)ブルセラ・スイス(主に豚)ブルセラ・メリテンシス(主にヤギや羊)など。
今回はブルセラ・カニス(主に犬)について説明します。
ブルセラカニスってどんな細菌?
ブルセラ属の細菌のひとつ。
家畜伝染病予防法で指定された家畜伝染病。(動物はこちらの法律)犬は対象外です。
感染症法では4類感染症に指定されています。(人が感染したらこちらの法律)
グラム陰性の非芽胞形成好気性非運動性の球菌ないし桿菌。
動物の細胞内に寄生して生息します。
動物のブルセラ症が多く発生している地域では人の感染も多く、動物の感染がコントロールされている地域では人の感染は少ない傾向にあります。
日本では家畜は厳しい検疫体制が出来ていて病原体のコントロールが出来ています。
ですが犬や猫のペットではすでに一定数定着している病気と考えられています。
感染しやすい病原体で潜伏期間は2週間程度と考えられています。
このブルセラ属菌、生物兵器として研究され使用されたこともある病原体です。
つい最近ではブルセラ症のワクチンを作っている工場から漏れた細菌が近隣住民に感染させた(3千人以上に!)事件がありました。これは中国での出来事ですが、多すぎやしませんか、この手のはなし。
ブルセラカニスの犬の症状
ブルセラ症は犬の細胞内に生息していて通常は症状を呈しません。
牛や豚でも死・流産の原因になる病原体ですが、犬でも同様です。
人の症状
人では風邪のような症状から始まる事が多い。
潜伏期間は2~3週間で、全身のあらゆる臓器に感染をおこします。
主に午後から夕方にかけて40度程度の発熱が間欠的、持続的、または不規則に長期間つづきます。
発汗や疲労、体重減少などがみられ、うつ状態になることも。
最もよく見られる合併症は関節炎で、消化器症状も良く見られます。
心内膜炎など重篤な合併症がおこることも。
人にもうつる ブルセラカニスの感染経路
犬同士の感染
感染犬との交配や、尿、乳汁から感染します。
人への感染
ブルセラ菌はほこりの中で6週間生存するとも言われています。(土中や水中で10週間)
- 皮膚の傷や眼の結膜から細菌が入り感染。
- 細菌を吸入することで感染。
- 汚染された食品を摂取して感染。
皮膚や結膜からの感染は流・死産した胎盤や血液、死体からの感染は職業病ともいえます。
繁殖業者など動物にかかわる仕事をしている人の衛生管理の徹底をすること。
全出の中国のワクチン工場の例では漏れ出た細菌を近隣住民が吸い込んだことでおこりました。
細菌兵器としてもこの細菌を噴霧することで使用したようです。
少量でも感染するので取り扱いには注意が必要です。
また、食品からの感染では非加熱の乳製品を摂取しないことで予防できます。
人にもうつる ブルセラカニス症の治療について
家畜ではこのブルセラ症が見つかれば処分となります。
犬や猫では治療の対象になりますが、高濃度の抗生剤の2剤、もしくは3剤を2週間以上投与することに。
全ての臓器の細胞に届く抗生物質があれば治療は出来るのですが、現実的ではありません。
したがっていったんは消失したようになっていてもしばらく経てば細菌がまた増えていることも。
PCR検査で感染の有無が確認できるので繁殖に用いる犬猫は検査することをオススメします。
人にもうつる ブルセラカニス症 まとめ
犬では症状がなく、流産を繰り返すことで気づくことの多いブルセラ症。
治療薬の無いのでもしも自分の愛犬がかかってしまっていたら。
繁殖に使わない事はもちろんですが、他の子に移さないよう配慮が必要です。
おもちゃや食器を共用しない、傷口を舐めあわないなど気をつけてあげましょう。