コリーアイといわれる犬の遺伝性疾患をご存じでしょうか。
その名前のとおり、コリー種にみられる眼の疾患です。
劣性遺伝しますので発症していなくても因子を持っていることがある疾患。
繁殖時にキャリア同士で交配しないなど組み合わせで防いでいくことが出来ます。※本文中に詳しく説明しています。
今回紹介するのは コリーアイ、コリー眼異常 といわれる遺伝性の疾患です。
犬の遺伝性疾患 コリーアイってどんな病気?
常染色体劣性遺伝する眼疾患です。
コリーアイの原因
眼底という眼球の奥側の場所。
眼球を包むようにある膜(網膜・脈絡膜・強膜)のうち、脈絡膜という真ん中の膜が欠損したり薄い場所が出来たりする疾患です。
コリーアイの症状
軽度のものから重度のものまで損傷の度合いによって症状は異なります。
基本的にグレードが進行していく病気ではありません。
眼が小さい小眼症や眼底出血(黒目が赤っぽく見えます)や急に眼球が大きくなったり(ブドウ膜炎からの緑内障)などの症状を併発する事もあります。
グレード1:眼底の血管の異常なうねり(血管蛇行)
ほとんど無症状で経過することが多い。
グレード2:脈絡膜や網膜の低形成
無症状かほとんど症状が出ない軽度の異常。
グレード3:組織がない部分がある(欠損)
視力に問題が出てきます。
みえない部分や見えにくい部分があるため、物にぶつかったりつまづいたり、ソファーから落ちたりなど。
あれ?と思う行動が多くなります。
グレード4:網膜がはがれる(網膜剥離)
進行すると失明してしまいます。
グレード5:眼球内で出血が起こる
眼底内で出血がおこり失明してしまいます。
コリーアイの治療
この病気の治療法はありません。
併発する眼底出血やブドウ膜炎などを悪化させないようこまめにチェックして治療を行いましょう。
犬の遺伝性疾患 コリーアイの検査や予防について
この病気が発症する1歳までに眼底検査を行います。
グレード3~4は失明のおそれもあるので定期的にチェックします。
遺伝子検査で遺伝の有無を確認して発症犬を繁殖しないことが予防につながります。
コリーアイ遺伝子検査って?
コリーアイの遺伝子を血液検査で調べる事が出来ます。
繁殖前に組み合わせを考えれば発症を防ぐ事ができるので是非実施していただきたい検査です。
クリア (発症無し・健全)☆☆
キャリア (発症の危険性は無いが因子を持っている)☆★
アフェクテッド (発症します)★★
繁殖時の注意事項
上記の結果を踏まえて交配計画を立てるようにしましょう。
組み合わせによる子犬の発症の確率 クリア(☆☆)キャリア(☆★)アフェクテッド(★★)
組み合わせ | 父犬☆☆ | 父犬☆★ | 父犬★★ |
母犬☆☆ | 100% ☆☆ | 50%☆☆ 50%☆★ | 100%☆★ |
母犬☆★ | 50%☆☆ 50%☆★ | 25%☆☆50%☆★25%★★ | 50%☆★50%★★ |
母犬★★ | 100%☆★ | 50%☆★50%★★ | 100%★★ |
アフェクテッドが出る組み合わせをさける事で回避することが出来ます。
コリーアイのみられる犬種
犬の遺伝性疾患 コリーアイ まとめ
コリーアイ、コリー眼異常などと言われる先天性で劣性遺伝の疾患です。
該当の犬種を飼育するときには両親の遺伝子検査の結果がわかれば安心ですね。
遺伝子検査を実施して交配すれば何代か先で無くなる疾患なのですが、人気犬種ともなるとなかなか難しいようですね。
比較的若い時期には発症するので子犬時代に眼底検査を行って備えておくのも良いかもしれません。
いずれにしてもあれ?と思ったときには獣医師の診断を受けるようにしましょう。
今回紹介したのは コリーアイと言われる先天性の遺伝性疾患でした。