甲状腺ホルモンというホルモンはよく知られたホルモンです。
多くても少なくても体の調子を崩してしまいます。
今回はこの甲状腺ホルモンの機能が低下しておこる疾患について解説します。
甲状腺機能低下症についてです。
犬の内分泌疾患 甲状腺機能低下症について
甲状腺ホルモンにはT4といわれるサイロキシンとT3といわれるトリヨードサイロニンなどがあります。
この甲状腺ホルモンの分泌量は下垂体から分泌されるTSHと言われる甲状腺刺激ホルモンによって調整されています。
甲状腺機能低下症の症状
- 脱毛
- 毛艶が悪くなった
- 毛が薄くなる
- 皮膚が黒ずむ
- 皮膚が厚くなる
- 乾燥肌になりフケが増える
- 元気が無くなる・活気がなくなる
- 寒がりになる
- 体重が増える
- 発情周期が乱れる
などの多岐にわたる症状が知られています。
左右対称に毛が抜けたり、尾の付け根辺りの毛が抜けたり特徴的な脱毛をすることも。
毛が硬くごわごわになって手触りが悪くなったな、と感じる飼い主さんも多いようです。
また、悲しそうな表情をする、と言われるようにしょぼーんとした顔をするそう。
甲状腺のはたらき
甲状腺は代謝に大きくかかわる器官です。
喉の少し下にある器官で下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモンのコントロール下で甲状腺ホルモンを分泌しています。
大きく3つの仕事をしています。
- 新陳代謝
- 交感神経を刺激
- 成長や発達の促進
甲状腺機能低下症の原因
さまざまな要因で甲状腺ホルモンの分泌が減少しておこります。
甲状腺自体にトラブルが起こって機能が低下する場合や、甲状腺刺激ホルモンが原因であれば下垂体が原因となります。
リンパ球性甲状腺炎、特発性甲状腺委縮症、甲状腺腫瘍などが原因となることもあります。
犬の内分泌疾患 甲状腺機能低下症の検査や治療について
症状が多い甲状腺機能低下症ですが、他の疾患でも起こりえる症状でもあります。
異常がはっきりと目に見えるものでもありませんが、しっかりと検査を行って治療を行うことが必要です。
甲状腺機能低下症の検査
一般的な血液検査に合わせてホルモン値の測定を行います。
一般的な血液検査で全身の状態とホルモン値ではT4といわれるサイロキシン、FT4といわれる蛋白結合していないサイロキシンの値を調べます。
また、治療を行う前にはTSHといわれる甲状腺刺激ホルモンの値も検査します。
甲状腺機能低下症の治療
甲状腺ホルモンを補充する治療を行います。
定期的に甲状腺機能の評価を行って投薬量を調整しながら行います。
甲状腺機能低下症が起こりやすいと言われる犬種
ゴールデンレトリバー
ラブラドールレトリバー
ドーベルマン
犬の内分泌疾患 甲状腺機能低下症 まとめ
甲状腺機能低下症は投薬で症状を改善することもできる疾患です。
起こりやすい犬種はありますが、どの犬種にも起こりえるとてもポピュラーな疾患ともいえます。
ホルモンの不調は全身で症状を表現することが多くてとまどうことも多いかもしれませんね。
甲状腺機能低下症と診断されれば、生涯治療が必要になってきます。
分からないことだらけ、とならないように獣医師としっかりと相談して治療を行いましょう。
今回は犬の甲状腺機能低下症について解説しました。