犬の遺伝病 MDR1遺伝子の変異 イベルメクチン中毒に要注意

MDR1 イベルメクチン犬の遺伝病
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特定の犬種に出ることがわかっています。

遺伝子の変異でイベルメクチンなどの感受性が高くなってしまいます。

このMDR1ってどういうことなのか詳しく説明しましょう。

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MDR1遺伝子変異って?

血管脳関門で化学物質が脳に到達する前に排除する働きをするP糖タンパク質の生成に関与しているのがこの遺伝子。

その遺伝子に変異があることで化学物質が脳に到達してしまい神経症状を発症してしまいます。

P糖タンパク質

化学物質が血管脳関門を突破しないために大切な役割を持つのがP糖タンパク質

分子量18万のリン酸化タンパク質です。

細胞膜上に存在して細胞毒性のある化合物などを細胞外に排出しています。

この場合の化合物はイベルメクチンを含む数種類の薬物をさします。

MDR1

P糖タンパク質の生成に関与している遺伝子がMDR1となります。

この遺伝子が変異した対立遺伝子が mdr1となります。

この遺伝子が

MDR1 / MDR1 で変異無し

MDR1 / mdr1 でキャリア(ヘテロタイプ)

mdr1 / mdr1 で発症となります(ホモタイプ)

血液の遺伝子検査で変異の有無を確認できます。
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MDR1遺伝子変異のある犬種って?

血液検査で遺伝子変異の有無がわかるようになっています。

遺伝子変異の多い犬種もわかってきました。

コリーオーストラリアンシェパードシェルティー
ボーダーコリージャーマンシェパード

コリー種は高い確率で変異があるようです。

MDR1に関連する投薬をする際には注意しましょう。

遺伝子変異ホモタイプの犬では重篤な副反応が考えられます。

ヘテロタイプ(キャリア)では少量から慎重に投与していきます。

MDR1遺伝子変異のある犬にイベルメクチン投与したらどんな症状がでる?

散瞳、流涎、嘔吐、運動失調、振戦、見当識障害、呼吸低下、昏睡、死亡など。

主に神経症状がでます。

症例がある犬種には慎重に対応します。治療には静注用脂肪乳剤が有効だった例があります。
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P糖タンパク質の関連薬剤

このMDR1遺伝子に変異がある場合に注意するべき薬剤です。

イベルメクチンってどんな薬?

イベルメクチンはマクロライド系の駆虫薬として知られています。

2015年に北里大学の特別栄誉教授 大村 智 博士が ノーベル賞を受賞して一躍脚光をあびた薬ですよね。

安全性も高く副作用も少ないことで使いやすい薬。

新型コロナウイルス感染症の治療薬としても各国で治験が行われている段階です。

寄生虫の神経・筋細胞にあるグルタミン酸のチャンネルに結びついて細胞内での活動電位が過剰になることで寄生虫が麻痺して死滅します。

経口投与されたイベルメクチンは脂肪細胞、肝臓細胞に局在することから脂溶性と考えられています。

MDR1遺伝子 P糖タンパク質関連薬剤

注意すべき駆虫薬

通常は血管脳関門を突破せずP糖タンパク質によって血管細胞外にくみ出されていて脳には到達しません。

そのため神経症状を出さずに薬効を得ることができる薬となっています。

駆虫薬として フィラリア予防薬・疥癬・アカラス に処方されます。
その他の駆虫薬としてミルベマイシン・モキシデクチンなどがあります。

注意すべき抗菌薬

いわいる抗生物質です。

細菌のタンパク質合成を阻害して増殖を防ぐ薬品(テトラサイクリン)やマクロライド系(エリスロマイシン・クラリスロマイシン)

ブルセラ症・ライム病や細菌感染に使用します。
テトラサイクリン・エリストマイシン・クロリスロマイシン・レボフロキサシンなど

注意すべき抗真菌剤

真菌は白癬菌、みずむしなど多くの皮膚疾患を引き起こします。

その治療薬である抗真菌剤にも注意が必要です。真菌の細胞膜の合成を阻害します。

真菌感染症 犬皮膚糸状菌・マラセチア感染など
イトラコナゾール

抗がん剤

がん細胞を攻撃して増殖を抑えたり死滅させたりする薬。

ドキソルビシン・ビンクリスチン・ビンブラスチンなど

免疫抑制剤

体内の反応である免疫システムの過剰な反応を抑制する薬です。

シクロスポリン、タクロリムスなど

胃腸薬

止瀉薬(ロペラミド)消化管運動改善薬(ドンペリドン)胃酸抑制剤(シメチジン・ラニチジン・オメプラゾール)など胃腸症状の薬。

ロペラミド、ドンペリドン、シメチジン、ラニチジン、オメプラゾール

ステロイド系

副腎皮質ホルモンの作用を薬にしたもの。

デキサメサゾン、プレドニゾロン

循環器系の薬

主に血管と心臓に関連する疾患の薬。

キニジン、ジゴキシン、ベラパミル、ジルチアゼム、スピロノラクトン

鎮痛・鎮静剤

犬猫用非麻薬性オピオイド(ブトルファノール) オピオイド(モルヒネ) 合成オピオイド(フェンタニル)

ブトルファノール、モルヒネ、フェンタニルなど
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MDR1遺伝子変異 まとめ

犬のフィラリア薬としてメジャーになったイベルメクチン中毒を起こすMDR1遺伝子の変異についてでした。

イベルメクチンは副作用の少ない優秀な駆虫薬なのですが、疥癬などの落としにくい寄生虫に使うときは注意が必要ですね。

血液検査でこの遺伝子変異が確認できるので心配ならば投薬前に検査を受けてもいいかもしれませんね。

いずれも獣医師とよく相談しましょう。

>>こちらも参考にしてね!子犬の社会化について。

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